こんばんは。浮空です。
風もおさまって少し肌寒い夜になりました。
交通機関などにも影響が出ていたようですが、みなさま大丈夫でしたか?
リクエストを頂いたので、今日はおうちでの珈琲の淹れ方をご紹介します。
珈琲を淹れることを、「ドリップ」すると言い、コーヒーメーカーやマシンを使わずに手でドリップすることを、「ハンドドリップ」と言います。
ひとくちにドリップといってもいろんな方法があります。
濾紙を使う「ペーパードリップ」、布(ネル)を使う「ネルドリップ」、アルコールランプで下からお湯を沸かして吹き上げさせて自然落下を待つ「サイフォン式ドリップ」、カタチはペーパーのと同じだけれど濾紙を使わない金属の細かい網状の「金属ドリッパー」、紅茶みたいに粉に直接お湯を注ぎいれて上からプレスする「コーヒープレス」その進化版の「エアロプレス」。お湯を沸かさず、お水の水滴をぽたぽたと落下させて時間をかけて抽出する「水出し珈琲」。
主立った方法だけでもこんなにあります。
今日ご紹介するのはその中でもいちばんオーソドックスな「ペーパードリップ」です。
使う器具はわたしがうちで普段愛用している「ハリオ」というメーカーの円錐型のドリッパーです。
このペーパー用のドリッパーも実はいろいろと種類があり、最近の主流は円錐型の「コーノ」か「ハリオ」ですが、少し前までは、抽出口に3つ穴のある「カリタ」や1つ穴の「メリタ」などがよく使われていました。他にもデザイン性の高い「ケメックス」や、抽出口がドーナツ型をした「ドーナツドリッパー」などもあります。
ドリッパーの素材も、陶器、プラスチック、金属、などに分かれていますが、わたしはプラスチックを使うことが多いです。
陶器は温まりにくく冷めにくい素材なので、そのまま使うとお湯があっというまに冷めてしまうので、一度熱湯で暖めてから使うという手間がかかります。
ドリップの仕方、というのはひとそれぞれにやり方があると思いますし、美味しく飲めれば多少手順が違っていても問題ではないと思うので、これが正解、絶対こうして!ということではありません。
わたしのドリップの仕方は、東京渋谷の小さな映画館アップリンクの地下にあった、いまはなき「カフェレジュ」という喫茶店のアルバイトの男の子から伝授してもらったことを基本に、自己流にアレンジを加えたものです。
話がちょっとそれますが、「カフェレジュ」ではニレコーヒーという会社の、年数をおいて枯れさせてまろやかになった「オールドビーンズ」という生豆を使っていました。
ブレンドは2種類で、どっしりした「ニレブレンド」あっさりした「レジュブレンド」。
この「ニレブレンド」は、口に含んだ瞬間どんっ!っと重い苦味が溢れ、そのあとすっ!っとその苦味が引いて甘い余韻が残る本当に絶品の珈琲でした。
さて。それでは本題に入ります。
まずは用意するものです。


- やかん(普段使っている大きなもの)
- 小さめのやかん(できればなるべく口の細いもの) なければおたまとか急須でも代用できます。面倒なら大きなやかんのままでもOKですができれば小さいのがあったほうが良いです。
- ドリッパー
- サーバー
- ペーパー
- コーヒーの粉
ここでは、抽出する量が400ml(ふたりでマグカップで飲むくらいの量)でご説明します。
①やかんでお湯を沸かします。お湯の量は、抽出する量の1.5倍くらいを目安に。しっかり沸騰するまで沸かしてください。

②お湯が沸くのを待つ間に粉を用意します。ドリッパーにペーパーをセットし、ついているスプーンでこんもり2杯半(ここでは30gで説明します)をいれておきます。


ペーパーは耳の部分を折り曲げておくとドリッパーにぴったりフィットしますが、折り曲げなくてちょっと浮いていてもぜんぜん大丈夫です(わたしは折り曲げないことが多いです)

③お湯が沸騰したら、ひとまずそのお湯をサーパー(ガラスのポット 珈琲の受け側)に全部いれます。これはサーバーをあたためるためと、お湯の温度を下げるのと両方の意味があります。沸騰したてのお湯よりも少し温度が下がったお湯のほうが珈琲がまろやかな味になります。緑茶をいれるときに一度急須に入れて冷ますのと同じです。


その後すぐに小さいやかんにお湯を移します。この段階でお湯の温度がちょうどよい具合になります。小さいやかんがない場合は代用できる急須などに移すか、大きなやかんにいったん戻します。
④次に粉の真ん中を指で軽く押してへこませます。お湯を注ぐと炭酸ガスで粉が膨らむので、お湯がまわりに逃げてしまいペーパーの隙間から下に流れ落ちてしまうのを防ぐためです。焙煎したての新鮮な豆ほど勢いよく膨らみます。(鮮度の落ちた豆は膨らみが弱いのですぐにわかります)

⑤ではいよいよお湯の出番です。豆のへこんだところにゆっくりと少量のお湯を注ぎます。口の細めのやかんがない場合はドバッとお湯が出てしまうので気をつけてください。この最初のお湯だけはおたまなどでたらたらっと注いであげるのも良い方法です。
豆にじんわりお湯が行き渡るイメージで、ゆっくり注いでください。周りのほうまでお湯が行き渡らなくて良いので、まわりの1cmくらいは乾いた粉のままになるくらいが理想的です。
お湯を注いだら、20~30秒待ちます。これは蒸らし、といって粉全体がふんわりと蒸らされることで珈琲の成分がしっかりと抽出できます。

⑥蒸らしが終わったら、お湯をゆっくり注いでいきます。ドリッパーの真ん中から500円玉くらいの「の」の字を描くように、注いでいきます。

全体にお湯がかかるようにしなくても大丈夫です。ドリッパーの中でお湯が行き渡りますので、最後まで500円玉くらい「の」のの字をイメージしてください。外側までお湯を注いでしまうと、粉を透過しないままのお湯が下に流れ落ちてしまいますので、うまみが出切らず、出来上がりも薄くなってしまいます。

⑦何度か手を休めながら注ぎ、抽出された珈琲がサーバーの400mlのラインまできたら、すぐにドリッパーを外します。

まだお湯がドリッパーに残っている状態で外します。写真で見える、浮いている泡はおもにアクなので、お湯が最後まで落ちきるまで待つと、このアクやエグミ成分も一緒に落ちてしまうので、雑味が出るのを防ぐために早めに外す感じです。
(ただし、この雑味も珈琲のうち、という考え方もあるので珈琲屋さんによっては最後まで出し切るところもあります。わたしの好きな珈琲屋さんのひとつ、東京三鷹の「まほろば珈琲」さんは出し切る派だそうです。)
⑧抽出が終わったら、やかんに残っているお湯でカップを温めます。(猫舌の方はあたためなくても大丈夫です笑)

カップをあたためたら、お湯をしっかり切って(出来ればキッチンペーパーなどで拭き取って)珈琲を注ぎます。

このとき、サーバーのふたをしてから注ぐと泡がきれて、きれいに注げます)

スイーツなんかを添えると幸せ度アップです笑
長々と書いてしまいましたが、珈琲の抽出のコツをひとつだけあげるとしたら、あせらないこと。すべての工程をゆっくりやること。かな。
ただ時間をかければ良い、ということではないのだけど、気持ちをゆったりさせながら淹れてあげるととってもおいしい珈琲になります。
わたしは普段せっかちだし、そそっかしいし、おっちょこちょいだけど、珈琲を淹れるときだけは丁寧にゆっくりと、を心がけます。
オーケストラの指揮者になった気分でコーヒー器具たちやお湯や粉全体を見渡す余裕をもって、魂をこめて。
自分で淹れた珈琲の味は格別だと思うし、親しいひとや愛するひとに淹れてあげるのも、淹れてもらうのも幸せだと思います。
今日ご紹介した器具は(やかんをのぞいて)ドリッパー、サーバー、計量スプーン、ペーパー少々で980円で買えるセットです。
ハリオの回し者ではございませんが笑、意外と手軽にハンドドリップはスタートできます。
自分で淹れたことはないけど興味がある、という方はぜひ試してみてください。
わからないこと、こまったことがあれば浮空はいつでもご相談にのります。
ハンドドリップはちょっと時間がないからコーヒーメーカー使いたい、という方も、デザイン性の高いかっちょいいコーヒー器具でコーヒーライフを楽しみたいという方も、ペーパー以外の器具で淹れてみたい!という方も。
みなさまが素敵な珈琲時間を過ごして下さるといいなあと、心より願いつつ。
それではおやすみなさいませ。